次世代シーケンサー(NGS)とは
2007年の次世代シーケンサー(NGS)の登場によりシーケンスコストは劇的に下がりました。 これにより、従来型のサンガー法ではコストが高く現実的ではなかったさまざまな解析が可能になりました。
次世代シーケンサー(NGS)では、全ゲノムシーケンス解析(WGS)、全エクソームシーケンス解析(WES)、de novo ゲノム解析、RNA-Seq解析、細菌叢解析等、様々な解析ができます。 本ページでは次世代シーケンサー(NGS)の種類や次世代シーケンサーでできることをまとめました。
次世代シーケンサー(NGS)の種類
次世代シーケンサー(NGS)とは、塩基配列を高速に読み取ることができる装置です。従来型のサンガー法と比較して圧倒的に大量のデータが得られるため、「次世代」という名前が付けられています。
次世代シーケンサー(NGS)の中にもいくつか種類があり、第2世代シーケンサー・第3世代シーケンサーと区別されることもあります。
第2世代シーケンサーはIllumina社のようなシーケンサーで、リード長が短くエラー率が低いという特徴があります。
第3世代シーケンサーはPacBio社やNanoPore社のようなシーケンサーで、リード長が長くエラー率が高いという特徴があります。
関連ページ
次世代シーケンサーでできること
RNA-Seq解析(トランスクリプトーム解析、遺伝子発現解析)
全転写産物をシーケンスすることにより、遺伝子の発現量を算出できます。
一般的には、すでにゲノム配列が明らかになっている生物種に対して、全転写産物のシーケンスを行い、得られたリードをゲノム配列にマッピングして、マッピングされたリードをカウントすることで遺伝子の発現量を算出していきます。
ゲノム配列が明らかになっていない場合には、得られたリードをアセンブルした上で、得られた配列に対してマッピングすることで、遺伝子の発現量を算出することもできます。
RNA-Seq解析は、Illumina社のシーケンサーでシーケンスを行うことが多いです。
全ゲノムシーケンス解析(WGS)
タンパク質をコードしている領域だけでなく非コーディング領域も含めて全ゲノムをシーケンスすることで、ゲノムの一塩基変異(SNV)、短い塩基の挿入または欠損(InDel)、転座などの構造変異、 コピー数多型(CNV)等を検出できます。
全ゲノムシーケンス解析は、Illumina社のシーケンサーでシーケンスを行うことが多いです。
全ゲノムシーケンス解析は、すでにゲノム配列が明らかになっている生物種で実施可能です。
全エクソームシーケンス解析(WES)
ゲノム上でタンパク質をコードしている箇所であるエクソン領域をシーケンスすることで、エクソン領域の一塩基変異(SNV)、短い塩基の挿入または欠損(InDel)等を検出できます。
疾患を引き起こす変異はエクソン領域に多く存在していることが知られており、シーケンスの対象をエクソン領域に絞ることで全ゲノムシーケンスと比べて低コストで重要な変異を検出できる解析です。
SureSelect といったターゲットキャプチャ用の試薬を用いてエクソン領域を濃縮したライブラリーを作製し、Illumina社のシーケンサーでシーケンスを行うことが多いです。
全エクソームシーケンス解析はターゲットキャプチャ用の試薬が存在している生物種のみで実施可能です。
de novo ゲノム解析
シーケンスにより得られたリードをアセンブルすることで、ゲノム配列が明らかになっていない生物のゲノム配列を明らかにすることができます。
Illumina社のようなショートリードシーケンサーではなく、PacBio社やNanopore社のようなロングリードシーケンサーを用いることが一般的です。
細菌叢解析(16S rRNA解析)
16S rRNA遺伝子をPCRにて増幅してシーケンスすることで、サンプルに含まれる細菌の種類や比率を算出できます。
16S rRNA遺伝子はすべての細菌が持っており、配列に多様性があることから、細菌を同定するために用いられています。
腸内細菌や口腔内細菌を対象とした解析がよく行われます。
16S rRNA解析は、Illumina社のシーケンサーでシーケンスを行うことが多いです。
論文に必要な解析が簡単にできるRNA-Seqデータ解析ツール
RNA-Seqデータ解析ツールを利用すれば、外部委託や共同研究者への依頼は必要ありません。高スペックなコンピュータの準備やLinuxコマンドの操作も不要ですので、いますぐにご自身で解析できるようになります。
遺伝子発現量の定量、発現変動遺伝子抽出(DEG解析)、Volcano plot描画、MAプロット描画、ヒートマップ描画、GO解析、パスウェイ解析等 を簡単に実施できます。