独学でバイオインフォマティクスを勉強する方法
はじめに
バイオの研究をされている方で、バイオインフォマティクス解析をできるようになりたいけれども、周りにバイオインフォマティクスに詳しい人がいなくて困っているというバイオインフォマティクス初心者の方をよく見かけます。 バイオインフォマティクス解析を外注でお願いすると、費用がかかってしまうことはもちろんですが、思ったような解析結果を返してもらえないこともあります。 自分でバイオインフォマティクス解析ができるようになれば、マシン代以外に費用はかかりませんし、自分の思った通りに解析ができます。
本ページでは、バイオインフォマティクス初心者の方が独学でバイオインフォマティクスを勉強する方法を紹介します。
バイオインフォマティクスを勉強する順番
勉強の目的によって異なる場合もありますが、以下のような順番で勉強していくことがお勧めです。1つずつ完璧を目指すのではなく、ある程度できるようになったら次の段階に進むのが良いでしょう。
1. Linuxのコマンド操作
バイオインフォマティクスの分野では数多くのソフトウェアが無償で公開されています。 これらのソフトウェアのほとんどがGUI(マウス等を使った操作方法)の操作に対応しておらず、LinuxやMacを用いてコマンド操作を行う必要があります。
そのため、既存のソフトウェアを活用するためにまずはLinuxのコマンド操作を習得する必要があります。
2. 既存のソフトウェアを活用した解析
Linuxのコマンド操作をある程度習得できたら、既存のソフトウェアを活用したバイオインフォマティクス解析を勉強していきましょう。
類似のソフトウェアがいくつもあることがありますので、それぞれのソフトウェアの特徴を理解し、自分の目的に合ったソフトウェアを選択する必要があります。 複数のソフトウェアを組み合わせて解析を行う必要があることもありますので、ソフトウェア間の相性にも気を使う必要があります。 また、ソフトウェアのパラメータを適切に設定することも重要です。
3. PythonやR
既存のソフトウェアから出力されるデータをさらに集計したり、既存のソフトウェアから出力される図では物足りなかったりする場合には、PythonやRが必要になってきます。
解析内容によっては、PythonやRで独自のソフトウェアを開発することも可能です。
バイオインフォマティクスを勉強する媒体
以下のような媒体でバイオインフォマティクスの学習が可能です。
1. 本
バイオインフォマティクスに関する基礎的な知識を身に付けるには本を読むことが最適です。おすすめのバイオインフォマティクスの本はこちらで紹介していますので是非ご覧ください。
一方で、具体的な解析の手順について解説している本については注意が必要です。 バイオインフォマティクス分野のツールは変化が早く、数年前に書かれたものでも使えなくなっていることも多いためです。 こうした本を読む場合には、上手くいかない箇所について試行錯誤しながら読み進めていく必要があります。
また、やりたい解析がニッチな内容である場合には、目的の本を探すことが難しいということもあるかもしれません。
2. WEBサイト
より具体的な解析の手順を知りたい場合には、WEBサイトから情報を得るのがおすすめです。 本に比べてWEBサイトの方が最新の情報に保たれていることが多かったり、ニッチな解析の手順も紹介されていることが多いためです。 多くの方がバイオインフォマティクスのソフトウェアの使い方をブログで紹介していますので、行いたい解析や使いたいソフトウェア名で検索をすれば、必要な情報が見つかるでしょう。
以下の2つのブログは特に内容が充実していますので、是非ご覧ください
また、ソフトウェアのより詳しい内容を知りたい場合には、公式サイトを読むことも重要です。
3. セミナー
バイオインフォマティクスの初心者向けのセミナーや勉強会は様々な団体が開催していて、中には無償のものもあります。 例えば、基礎生物学研究所ではこちらのようにバイオインフォマティクスのトレーニングコースを開催しています。 参加料金は無償ですが、開催頻度も低く参加人数の制限もありますので、運が良ければこのような機会を活用することもできそうです。
4. オンライン学習サービス
ある程度Linuxの操作に慣れている方であれば、本やWEBコンテンツを見ればすぐに自分でも使いこなせるようになるかもしれません。 しかし、初心者にとってはそもそもLinuxの基本的なコマンド操作ができなかったり、Linuxの環境を準備することが難しかったりすることも多いかと思います。
こちらのオンライン学習サービスでは、ブラウザ上でLinuxコマンドの練習ができるようになっていますので、初心者の方でもすぐにバイオインフォマティクスの勉強を開始できます。 月額料金はかかりますが本を買うことを考えれば比較的安いとも考えられます。バイオインフォマティクス学習のまず第一歩としてこうしたサービスを利用することは一つの選択肢になりそうです。
ブラウザ上でLinuxコマンドを操作しながら学習ができます
論文に必要な解析が簡単にできるRNA-Seqデータ解析ツール
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